鳥取編〜マンボウシンポジウム日記〜 2006/7/14 (シンポジウム発表!)

こんにちわ。管理人のまったりマンボウです。
この度、鳥取県立博物館の《企画展シンポジウム》「今、明かされるマンボウのなぞ−DNAと形態からせまるマンボウ研究最前線−」
にパネリストとして参加してきました。
パネリストは国立科学博物館 松浦先生・後輩のヨシタ・私、の3名。
松浦先生はマンボウファンは必ず知っているあのマンボウ前線接近中(もちろん松浦先生にリンクの許可をいただきました!)
を作成されたフグ目(ふぐもく)魚類研究の第一人者です。
新種も数多く発見されており、もちろんマンボウ科魚類に関しても日本では一番の知識を持っておられる方です。

ヨシタは私の後輩で、私のマンボウ研究を引き継いだ現在進行形のマンボウ研究者です。なかなかの行動力を持ち、
台湾・小笠原諸島・岩手などマンボウを追いかけてサンプリングを行っています。
私はもう過去の研究者ですが、今回は大学院時代に研究したその成果を発表する予定です。
バタバタで作った資料・・・そして一度も発表練習をしないまま前日を迎えてしまいました。
さてどうなることやら・・・。

7/15
朝4時40分起床。
別に緊張して目が覚めたわけではありません(笑)
5時40分の列車で出発するからです。

誰もいないソニックの中。お洒落で快適な列車なのです。
さすがに列車の中はだーれもいませんでした(笑)
貸切のソニック(列車の名前)は気持ちいい〜♪
いつもどこに行くにも車だったので列車での旅は久しぶりで新鮮でした。
朝6時・・・眠い・・・・・(ノД`) 列車の旅もいいね♪
でも眠たくてすぐに寝てしまいました。
あやうく小倉を通り過ぎるところでした。

小倉から新幹線に乗り換えて、広島でヨシタと合流。
岡山で乗り換えてスーパーいなば1号で鳥取まで。
駅では博物館の方がお迎えに来て下さってたので車に乗って早速、鳥取県立博物館へ!
今回のこの企画「遠い海」・そしてシンポジウムの責任者である川上さんにお会いし、展示室を見学させていただくことに。
と、展示室の前にはそうッ!あの巨大生物がッッ!
ピンボケしてすみません!(ノД`)・゚゚・
境港で獲れたあの巨大マンボウだ!!
そう、2004年秋に漁獲された巨大マンボウの剥製です。
このデカさにはビックリ!!
このサイズのマンボウを剥製にするとなると数百万円はかかるそうです。
この巨大マンボウの剥製は一見に価値がありますよ。
是非、皆さんも鳥取県立博物館へ足を運んでこの巨大マンボウを見てください。
日本の海にはこのような巨大生物が泳いでいるのです。
前置きが長くなりましたが、展示室の中へ。
そこには・・・おお!ブラボーー!!
世界のマンボウ勢ぞろい〜♪ マンボウ研究のパネル
マンボウ科魚類が勢ぞろい!
マンボウ・ゴウシュウマンボウ・ヤリマンボウ・トンガリヤリマンボウ・クサビフグ!!
現在のところ確認されているマンボウ科魚類5種の剥製がずらりと並んでいました。
しかも小さなサイズの可愛いマンボウまで。
これはファン(マニア?)にはたまりませんな(^m^)
しかも私たちの研究まで紹介していただいて・・・ありがとうございます。
マンボウ色々 ヤリマンボウ色々
本日は鳥取を色々見学させていただけるということで、車で観光に連れて行って下さいました。
私が一番行きたい場所は・・・やっぱ鳥取砂丘でしょ!
そしてこれが鳥取砂丘だ!
すげ〜!砂の山!!一体何粒あるんだろう?
むぅ、なんて雄大なんだ。
で、何?あの砂山は??
向こう側はどうなってるの?ってなわけで松浦先生には待ってもらってあの山までダッシュ!!
下りは足が砂に埋まってショックが吸収されてヒザに負担がかからず、快適に走れるんですけど、上りはめちゃめちゃキツい・・・。
ハァハァ言いながら登って周りを見渡す。
でっかいぞーーー! これだけの距離走ってきました(汗) お茶、全部一気しちゃいましたよ(笑)
真ん中の写真が後ろを振り向いた景色。
よくあの建物からここまで走ってきたなぁ。
で、右が砂山の向こう側の景色。
実は私の座ってる後ろはどーーーーんと急斜面。10〜15mは下ってます。
そこを降りればすぐに海でした。
海水浴をしてる人もいましたよー。
今日は暑くて海はベタ凪。泳ぐには最高の日です。
いいなぁ、俺も泳ぎたい!
その後も色々な場所や施設を見学して、
夕食を食べて本日は終了。
夕食時はずっとマンボウの話で盛り上がりました。
これほど濃密でマニアックなマンボウの話をしてるのは
日本でもここだけでしょう(笑)
誰も入ってこれないようなディープな話でした。
おかげ様でさらにマンボウにういて詳しくなりましたよ♪

川上さんから「明日はよろしくお願いしますね。」と一言。
忘れちょった!(  Д ) ゚ ゚ !?!?
明日は発表じゃん!!?
今日があまりに楽しすぎてシンポジウムの事すっかり忘れてました。
その日の夜は資料の手直しをして、
原稿を作って・・・発表練習をして・・・
夜中にパソコンが起動しなくなったり、眠かったり、
色々ありましたがどうにか完了。
午前1時半就寝。

明日はどうなることやら?

7/16

シンポジウム当日。
シンポ自体は午後2時からなので、午前中はとにかく発表練習。
ってもスライド見ながら時間を計りつつ頭の中でブツブツ言うだけなんだけど。
でも、やっぱり気にくわない箇所は変更変更。
昨晩完成したはずのスライドでしたが発表直前には結構変わっていました。
そして午後2時。
シンポジウム開始です。
川上さんのイントロ 松浦先生の発表 私の発表
まずはイントロを川上さんが。
次に松浦先生がマンボウという魚についてのお話。
初めて聞く話に私も発表のことをすっかり忘れてへぇ〜と聞き惚れる。
で、私の番!!
ドキドキの発表 皆さんに伝わったでしょうか? ヨシタの発表
題名は日本周辺海域に出現するマンボウの個体群解析。
極々簡単に内容を紹介しますと・・・
日本周辺海域に出現するマンボウ科魚類の分子系統樹 左の図のマンボウの部分をクローズアップ
これまでマンボウ属にはマンボウとゴウシュウマンボウしか確認されていません。
そしてゴウシュウマンボウは南半球にしか生息していないということから、北半球、そして日本近海に出現するマンボウは
当然マンボウ(Mola mola)1種だと考えられていました。
ということは当然、日本近海に頻繁に出現する1m前後のマンボウが成長すると関東・東北沖に出現する巨大マンボウになる
ということになりますよね。
しかし、日本近海に頻繁に出現する1m前後のマンボウと関東・東北沖に出現する巨大マンボウのDNA(遺伝子)を比べて見ると、
かなりの違いがある
ことがわかりました。
便宜上、
関東・東北沖に出現する巨大マンボウ・・・クレードA
日本近海に頻繁に出現する1m前後のマンボウ・・・クレードB

と呼びます。
ということはクレードBのマンボウが成長するとクレードAの巨大マンボウになるわけではないのです。
ではこの巨大マンボウは一体何者なのでしょうか?
先ほど述べたように、これまでのところマンボウ属にはマンボウとゴウシュウマンボウしかいません。
もしかしたら東北沖で獲れるこの巨大マンボウはマンボウでもゴウシュウマンボウでもない新たな種(もしくは亜種)の可能性が!?
というのが私の研究結果でした。
(ちなみにマンボウに関しては過去の研究者のことや諸々の事情があり、新種として発表するのは難しいとのこと)
ではこの度、境港で漁獲された巨大マンボウは一体どちらの仲間になるのか!?
この巨大マンボウはクレードBのマンボウであることが判明しました。

結局、私はマンボウの謎を一つでも多く解こうとしたのですが、一つ謎が解けると4つ5つと謎は増えていきました。
@なぜクレードAの小型マンボウが日本周辺で漁獲されないのか?
AクレードAの大型マンボウはなぜか関東・東北沖でしか漁獲されない。九州・四国・近畿の沖で獲れないということは黒潮に乗ってやってくる
  わけではないのか?では一体どこからやってくるのか?
Bなぜ巨大マンボウは関東・東北沖に集まるのか?餌の確保?産卵場?
などなど。
今は色々な仮説を立てて、後輩のヨシタが研究を進めています。

日本近海に頻繁に出現するマンボウ
(クレードB)
関東・東北沖にのみ出現する巨大マンボウ
(クレードA)
境港の巨大マンボウはどっち?
写真左の小型マンボウが成長したら写真中の巨大マンボウになるわけではない。
この2種類のマンボウは全く別の集団であることが判明!
境港のマンボウはクレードBであることが
判明!
まま、こういう話と旅の話を交えて発表しました。
詳しい話はまたいずれ。
ヨシタも無難にこなし、終了。
質問もたくさんいただき、充実したシンポジウムとなりました。
気付いたら用意していただいた水は9割くらい減っていました(笑)
緊張してましたから。
発表を聞きにきて下さった先輩のSさん夫婦 今回のパネリスト3名集合!
その後は鳥取県立博物館の方達と懇親会を行い、楽しくお話することが出来ました。
博物館の皆様、川上さん、松浦先生、ヨシタ、本当にどうもありがとうございました。
久しぶりにマンボウ漬けの日々を過ごすことが出来ました。
現在研究をされている松浦先生やヨシタの話を聞いていると自分は取り残されているようで少々寂しい思いをしましたが、
また色々新情報が入ったら教えて下さい。
私も仕事をしながら趣味でマンボウを追いかけます。
楽しみにしています!
博物館の皆さんとの懇親会の様子
皆さんも是非、鳥取県立博物館へ足を運んでみて下さい。
たくさんの種類のマンボウの剥製や魚の剥製を見ることが出来ますよ!
それではまた!

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